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典型的な「ダメな企業」とは

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先日、子供向けの学習塾を始めた方と話す機会がありました。曰く、生徒がガラケーからスマートフォン(スマホ)に替えると、集中力が明らかになくなってしまうので、すぐにわかるそうです。著者自身も会社員の頃は会議の内容によっては確信犯的に暇つぶしツールとしてスマホを持っていくことがありました(もちろん現在はありません)。 今回は本連載前回記事に続き、中小企業にありがちな、会社の仕組みなどさまざまなものがずさんで業績不振に陥るダメな会社によく見られる共通点・特徴を挙げていきます。(1)契約書の扱いが適当 筆者の経験則では、業績の悪い会社で、契約書類がきちんと整理・保管されていたケースはまれです。「きちんと」というのは2つ意味があって、ひとつは個別内容の妥当性を確認しているかです。その点が欠けていると、一事が万事であったり肝の部分において、ビジネスの特殊事情や交渉上必要性がないにもかかわらず、相手に有利になっていたりすることがあります。もうひとつは、書類管理の主管部署がなかったり、あったとしても単にファイリングだけして一元管理されていないなど、管理の点です。 会社に顧問弁護士がいたとしても対応は人それぞれで、気を利かせてビジネスの内容に突っ込んで確認する人もいれば、書面の体裁だけをチェックするような弁護士もいます。後者の場合、社員は企業間で契約書を見せ合ったりするわけでもないので、重要な項目について相手方が有利になっていることにすら気づいていないことが往々にしてあります。 また、総務部や法務部で管理している場合でも、「同じような取引をしているはずのA社とB社で、なぜ支払い条件が違うのか?」「随分と相手方に有利になっているが、きちんと交渉したのか? できないのであれば、何か事情があるのか?」などと、担当部門に対して牽制機能を発揮している場合もあれば、機械的に管理している場合もあります。業績の悪い会社は、往々にして後者であることが多いです。 こうした契約書の問題については、普段は特に問題が露呈しません。しかし、「これから業績を立て直していこう」という時や「何かを変えよう」という時に、大きな足かせになってしまうことが多いです。当然、契約内容は急に変えられないので、取引先と交渉して修正するのに半年~1年単位の時間がかかってしまい、変革のスピードを損なわせたりもします。(2)エースが輝きすぎている どこの会社や部署にもエースという人がいます。それが誰なのかが明確すぎることが、業績の悪い会社に見られる共通点です。裏を返せば、他の目ぼしい人材がまったくおらず、その差が激しいということです。 エース人材がどのようにして生まれるのかは深い話なので今回はあまり論じませんが、あらゆる仕事をその人に集中させてきた、中心に考えてきたことのツケであるように思います。少し先を見て、幅広く人材を育てるために仕事を割り振ってこなかったともいえます。 社長や一部の権力者が、とりあえず自分が健在な間を乗り切ること、自分が美味しい思いを続けられるためにという刹那的な時間軸で物事を考え続けてくると、必然的にそうなります。何か課題が発生した時に、新しい人にチャレンジさせるよりも、安心感のある人に委ねるほうが安全だからです。 これでは、成長の機会が一極集中することによって、エース人材はより成長しますが、他の人材は失敗も成功も経験しないまま年齢を重ねてしまいます。そうしてできた人材のレベル格差と業績の好不調には、相関関係があるのではないかと考えます。(3)ダメな人が、好き嫌いでダメな人を高く評価する連鎖 会社は人で動いています。ですが、儲かるかどうかというのは人だけで決まる問題でもありません。勝てる仕組みを築いている会社は、人材レベルが低かったとしても普通に儲かっていたりもします。天才的にその仕組みをつくった創業者が、その他大勢の社員を喰わせている状態です。そうした状態になると、上の人間は好き嫌いで人を動かせるようになります。 ところが時が経ち、事業環境、規制、インフラなどが変わったり競合が現れ、その勝てる仕組みが崩れた時に、長らくたまっていたツケが一気に噴き出します。 筆者の感覚では、社長が好き嫌い人事をしていること自体が直接的に与えるわかりやすいダメージよりも、そこで寵愛された人が、必ず自分より劣る人を採用・登用することで、間接的かつ平均的にわかりにくく着実に人材レベルが低下していくことによるダメージのほうが大きいように思います。 まともな人が中途採用の面接に来たとしても、変な人が面接官をやっていると、ほぼ間違いなく通しません。純粋に相手の良いところが理解できないケースと、確信犯的・本能的に自分より優れた人を近づけさせないケースと両方ありますが、結果は同じことです。そして社内の人材に対しては自分と似たような、そしてさらに自分をスケールダウンさせたような社員を役職に就けて、給料を上げて恩を売り、なんでも自分の言うことを聞く駒に仕立て上げたりします。 あるいは個人的なつながりで中途入社させた人に対して、他の社員とアンバランスな高い給与水準を用意したりします。そうしたアンバランスな人事は、真面目に働いている社員に感づかれてしまうもので、モチベーションダウンにつながります。そうして入社した変な人と、それを採用した変な人とがお互いに褒め合ったりするシーンを見ると、余計に周りの社員のテンションは下がっていきます。●よくわからない顧問だらけ 社長ないしは権力者による人事で直接会社にダメージを与えているケースとしては、よくわからない顧問がたくさんいるという例もあります。社員より高い報酬を受け取っておきながら、その実貢献していない顧問などです。だいたいにおいて権力者の友人、友人や取引先の紹介で就いており、実績に基づいて選ばれていません。そうした顧問が何か成果を上げることはなく、ひどい場合には姿を現さないこともあります。それでも若手社員より報酬が高かったりする例は何度も見てきました。 筆者が見聞きした中での悪質な例は、A社にいた不動産顧問のケースでした。その顧問は経営者の友人の紹介がきっかけで就任したのですが、自分でも法人B社を持っており、A社の不動産取引のすべてをB社が仲介したことにしていました。誰も手を出さないような物件をA社に割高で契約させたり、相手方に圧倒的に有利な契約を結んだりしていました。なんでもいいので契約が成立すれば、B社に仲介手数料が入る仕組みです。それでもA社の経営者は、「●さんは安い顧問料で、よく物件を決めてきてくれる」などと能天気に評価していました。その顧問は仲介手数料を数千万単位で得ていたので、顧問料はタダ同然でもよかったのです。 こうして取引した物件を整理するためには、契約の縛りがあるため1~2年はかかってしまいます。このように、リベートだけ懐に入れて逃げる顧問というのは、不動産以外にも情報システム、M&A仲介、物流などでもよく聞きます。大きなカネが動くところでは、いろいろな人が虎視眈々と儲ける機会をうかがっているのです。逆に生産現場のカイゼンなどは大きなカネを使うシーンが絡まないので、きな臭い話はほとんど聞きません。 不動産や設備の問題は時間をかけて解消することができますが、変な人が連鎖して増えてしまっているという事態は、簡単には直せません。法律的にも社員を辞めさせることは難しく、業績の悪い会社を復活させようという時には、最も深刻な問題として最後まで横たわります。 では次回からは、立派であるがゆえにさまざまなものが過剰になっている「ダメな大企業」について、その特徴を挙げていきます。 (文=中沢光昭/経営コンサルタント)

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