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驚がくの的中率、人工知能の株価騰落

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(ブルームバーグ): 将棋や囲碁の世界でプロを撃破する人 工知能(AI)が、株式市場でも存在感を見せ始めた。株価指数の騰落 予想における的中率は現在7割近くとなっており、将来的には8割まで 確率を上げることが可能、とAIモデルを研究するストラテジストは言 う。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の瀬之口潤輔シニアス トラテジスト(49)は、AIを使って日経平均株価の水準を予測してい る。月次データを基に分析し、毎月10日を基準日に高安を調べる と、2012年4月からことし2月までのトータル的中率は68%だった。 「モデルツリー」と呼ばれるAIの分析手法は、過去数年間 の市場データパターンからいくつかの局面を作成、局面ごとに重要な経 済指標を選び、株価を予測する。最適なサンプル期間と経済指標を毎回 選び直すため、市場に変化が起きた場合でも柔軟に対応できる点が特徴 だ。 瀬之口氏は的中率について、「上がるか下がるかなので50% が基準になり、そこからどれだけ高められるか。今まで出てきたモデル は57-58%で、今回70%近くまで持ってきたのは飛躍的な進歩」と話 す。精度の向上に関しては、「人工知能の動きがちょうど株価の動きに 合っている」とみている。 同氏が使うデータは、米国の供給管理協会(ISM)製造業 景況指数や日本の景気ウオッチャー調査など国内外の経済指標、市場価 格など92種類。200種類のモデルの中で最も当たったルールを採用し、 モデルを毎月選び直す作業もAIが行う。全モデルの過去48カ月(4 年)のバックテストを行い、最も結果の良いもので49カ月目を予想、49 カ月目終了時にまた一から選定し直すを繰り返す。こうした過程で、 「ルールが1年に1回か2回大きく変わる。それがマーケットの構造変 化」と瀬之口氏は言い、直近では15年1月に大きな変化があった。 将棋「電王戦」は10勝5敗、囲碁は初のAI勝利 慶応義塾大学理工学部で機械学習を専門とする櫻井彰人教授 は、経済専門家による国内総生産(GDP)統計の予測的中率は50%と され、ほとんど当たっていないと指摘する。7割に迫る瀬之口モデルの 的中率は、「株価や為替など参加者が非常に多く、公平と考えられるマ ーケットの予測としてはそう簡単に得られない値。かなり高いと言わざ るを得ない」と評価。データ使用期間の変更や良質なデータ抽出力の高 さが成功の背景にあるとみる。 櫻井教授はAIの現状について、「カバーしている範囲が広 く、使われている技術もさまざま。よく使える場所とそうでない場所が ある」と説明。ルールが明確で、ランダム性のないゲームの世界は人工 知能が強い分野であり、「オセロやチェス、将棋まで人間に伍(ご)す るようになり、最近は囲碁も人間と同じまでになるのではないかという ところまできた」と言う。 一方、経済予測は「どんどん変わっていく世界。ゆっくり変 わることもあれば、一気に変わることもある」とし、起こっている事象 の裏側にあるメカニズムも認識する必要があり、それが継続、変化した かどうかも予測しなければならない難しさがあると述べた。 日本将棋連盟とドワンゴの共催でプロ棋士とAIが対局する 電王戦は過去4回開かれ、通算成績はコンピューター10勝、プロ5勝、 引き分け1。AIの勝率は6割2分5厘となっている。囲碁では米グー グルがことし1月、同社開発のコンピュータープログラム「AlphaGO (アルファ碁)」と過去3度欧州チャンピオンとなった中国人プロ棋士 が昨年10月に対局し、アルファ碁が5戦全勝、初めてAIがプロに勝利 したと発表した。 確率向上はコンピューターの容量次第 瀬之口氏によると、株式市場では高頻度取引(HFT)や商 品投資顧問(CTA)などの超短期取引でAIが使われている。ある銘 柄の0.1秒後を予想する際、数秒前のティックデータや板情報のパター ンなどを調べ、「こういう板情報なら0.1秒後はこうなる、というよう な使い方は結構盛んにされている」が、1カ月先などの分析は精度が低 く、「ほとんど実用には用いられていない」と言う。 自身が開発したモデルの実績を携え、瀬之口氏はこれまでお よそ40社の機関投資家を訪問した。今までの手法では正確な予想ができ なかったことで、「過去のパターンから人工知能が予想すれば、精度が 上がると感じている人が多い。人工知能のプログラムを見せてほしい、 一緒にやりたいというリクエストも多かった」と明かす。 もっとも、AIによる予想は計算量が多く、コンピューター の能力に左右されるため、現時点では取り込むデータに限界がある。 「良いモデルを選ぶことはできているが、それを選ぶまでに1、2カ月 かかり、その間負けてしまう。良いモデルが選ばれたら、しばらく当た りだす」と同氏。コンピューターの容量拡大などで改善が図られれば、 前月比の高安を的中させる確率は「80%近くまで上がる可能性が十分あ る」としている。 瀬之口氏は、外資系証券の銀行アナリストを経て日本銀行に 入行、11年に三菱モルガン証に入った。金融業界の分析を担当する傍ら 大学関係者とも協力し、株価予想モデルの開発を一貫して続けている。 従来的な回帰・統計分析に限界を感じ、AIを使って予測精度を向上さ せる研究を重ねており、13年には筑波大学で人工知能の博士号も取得し た。現在は、静岡県立大学で金融政策論と国際金融論を教える。 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net; 東京 Tom Redmond tredmond3@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎, 堤紀子

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